業務日誌

東京農業大学(元三重大学)教員による業務日誌です。農業経営学の見地から,食料・農業・農村・環境の問題を考えています。

7月14日(木):ザーザーぶりの雨

朝にまとまった雨の音で目が覚める。日本ほどではないが。また、雷雨予報が出ていたが、雷雨には至らず。昼間は晴れ。

  • 昨日の外部講師による特別講演の後作業を少々。
  • 予算執行手続き(パソコンの購入手続き)。本日も一歩前進。
  • 調整していた今年度スタートの研究プロジェクトに関するオンライン会議の日程決定。続いて、急ぎzoom設定と連絡など。
  • 研究室の先生方に連絡。オープンキャンパス関連、後学期授業の教科書などについて。
  • 帰国準備関連。1)帰国便搭乗前PCR検査の予約。帰国までに水際対策が緩和されて検査不要になるのではないかとの期待もあり、予約していなかったのだが、ここ数日の日本での感染者急増を見て、帰国までに緩和はないと諦めて予約を入れることに。2)帰国便に関する問い合わせを1週間前に旅行代理店にしていたのだが返信がないのでリマインド。
  • 派遣元大学から届いた資料の読み込み。
  • 先週に訪問した農場の録画編集開始。これも仕上げは外部委託するが、外部委託するための動画ファイルの前処理を一旦終わらせる。今回も10分程度の動画になる見込み。関連して、年度内の研究室動画チャンネルの配信予定表も更新。
  • 来週の研究会に向けた作業。作業というか考察。調べものもあるにはあるが。続く。

本日のヘルシンキ

  • コロナによる検査遅れが影響し、検査漏れのメラノーマが増加している可能性。フィンランドでは皮膚がんに関する知識は改善されているものの、「肌のタイプと日焼け嗜好のミスマッチ」、すなわち、本来日焼けに適していない肌質なのに日焼けを好む傾向はまだまだ続いているとのこと。確かに、日差しがある時に、条件反射的に日陰に移動するのが日本人、日光を浴びに行くのがフィンランド人。日本人的には「街中のカフェでコーヒーを飲むのに、わざわざ屋外の日なたに出なくてもよかろうに」と思ってしまう(そして自分は屋内で飲む)。日光の問題もあるが、埃もすごいじゃん、とか思ってしまう(笑)。
  • 6月のフィンランドのインフレ率は7.8%。5月の7.0%より上昇。この数字は1984年3月以来の高水準。食料品は昨年同月比10.9%上昇。鮮魚46%、じゃがいも22%など。下がっているのは昨年の不作から回復したイチゴくらい。昨日にも報道があったように、消費者は安価な商品にシフトするため、脂肪・砂糖・添加物の摂取が増え、健康を害する可能性が指摘されている。また、6月がピークとは想定し難く、秋まで続く見込み。円ベース生活者には、これに円安も加わるので、本当に勘弁してほしい(苦笑)。
  • コロナ関連。ワクチンの4回目接種(ブースター2回目)の対象を60歳以上に拡大する方針は既に出されていたが、秋とされていた開始時期が8月上旬に前倒しされる見込み。フィンランドでは多くの人が(自分も含めて)12月から1月にかけて3回目接種を受けているので、4回目をやるなら早いほうがいいのだろう。個人的には、毎年インフルエンザの予防接種は受けているので接種そのものはやぶさかではないが、年1回程度にしてほしいとは思う。
  • フィンランド・ロシア間の不法越境が増加。こう書くと、亡命や不法就労をイメージするかもしれないが、実際に多いのは、フィンランド側からロシアに不法越境し、写真だけ撮って戻ってくる観光客。去年は8件摘発されたが、今年は最初の半年で既に11件。摘発された場合、最大で懲役1年との注意喚起も。「隣国」ロシアが「遠い」存在になると、逆に観光客はこういうことをしたくなるのかもしれない。

ということで、今日は普通の木曜日だったはずが、ニュースは意外に多かった。

7月13日(水):オンライン授業

朝にオンライン授業を管理して、その後は自分の仕事…という目論見は甘かった。

  • 派遣元大学のオンライン授業を開催。内容は外部講師にお願いして、自分は管理。むしろ、終了後の動画編集やら連絡、今後の確認などの方が大変。フィンランド時間では朝の授業だったのだが、なんだかんだで一連の作業を終えたのは夕方。まあ、動画ファイルの書き出しに時間がかかった(その間、パソコンが重くなるので他の作業もできない)ことが主因だが。
  • 昨日から引き続き、パソコンの発注作業の続き。一歩前進。
  • 派遣元大学から送付されてきた資料の読み込み。うーん、こういう意識ではダメだよなあと思ったが、内輪の話。
  • 昨日から引き続き、依頼原稿の執筆。一応きりのいいところまで進めておきたかったので、進捗度は30%とやや進行。また、今後の分析に必要なデータの整理。こちらの統計システムが新しくなった話は聞いていたのだが、英語版がうまく表示されず。困っていたのだが、ブラウザを変えたらうまくいった。これでデータの獲得というところでは目処がついた。
  • 来週の研究会に向けた資料の手直し作業。ようやく着手はしたが。明日こそは本格的に前進させる(苦笑)。

本日のヘルシンキ

  • 最新の世論調査。国民の6割が、ワイン程度の度数(15%)のアルコール飲料をスーパーマーケットで購入できるようにすべきだとの意見。フィンランドではアルコール飲料国営企業であるAlkoが独占販売。規制緩和により、アルコール度数5.5%まではスーパーで買えるようになったのが2018年。当然、独占販売されている酒類は高いわけだが、さて、緩和されるか。医療への負荷を下げるためにこの夏はアルコール摂取を控えめに、と政府から要請されている状況では、近い将来の規制緩和は望み薄か。
  • 先週末にヘルシンキのホテルのバーで異臭騒ぎがあり、バーのスタッフ3名が異状を訴え、警察が介入してバーを閉鎖するという事案があったのだが、本日原因物質を撒いたとされる女性が警察に拘束されたとのニュース。そもそも原因物質も特定されておらず、事件と言えるかもわからないが、今後の備忘録として。

ヘルシンキの天候は、一時の熱波は収まり、20度前後と比較的過ごしやすいのだが、ここ数日は雨が降りやすくなっており、明日の予報は雷雨。日本では珍しくないが、こちらで雷雨を体験するとすれば初めてか。

7月12日(火):残り50日

フィンランド滞在も残り50日になってしまった。帰国するまでは51日(笑)。もちろん、日本を離れている間にはできなかったこともあり、帰国後に改めて(新たに)取り組めることは楽しみでもあるが、今のような時間は自分の職業キャリアの中では最後だろうということもあり。

  • 派遣元大学から全教職員への視聴指示があったビデオ研修を受講。国立大学から私立大学に移ってきた人間からすれば、「いつか来た道」ではあるが、改めて勉強になった。
  • 研究室ブログの更新。研究室の先生からコンテンツ提供があったのですぐに対応。Twitter更新も了。
  • 派遣元大学のゼミ生に連絡。明日のオンライン授業のリマインド。
  • 予算執行手続き。外部講師にお願いした特別講演の謝礼支払手続きに必要な書類の収集。残りの手続きは派遣元大学の先生にお願いする。
  • 採択済み論文の校正。編集部を介した印刷業者とのやりとり。無事に了。
  • 昨日から執筆を始めた原稿の続き。今日はデータと睨めっこしている時間が多く、原稿としてはそれほど進まず、進捗度は25%程度。

本日のヘルシンキ

  • ユーロ安に関するニュース。1ドル=1.0003ユーロまで下落し、1ドル>1ユーロを見立てる識者も。円安で困っている人間からすると「ユーロお前もか」という心境。
  • ガソリンの小売価格が若干落ち着いたとの報道。先週のガソリンの平均価格はリッターリッター2.40ユーロ。その前週の2.55ユーロから下落。と言っても、日本円で言えば330円(本日のレートは1ユーロ137円台)。
  • 最近の食料品価格上昇に伴う消費者の購買行動の変化に関する調査結果。調査対象者の6割が購買行動を変えたと回答。多い順に、セール品(プロモーション品)の購入を増やす、安価な代替品へ切り替え、購入量の削減、予算制約に合わせた食生活の変更、などと続く。年齢別に見ると、若年層と中年層の変化が大きい。さもありなん。

来週の研究会に向けて作業を始める前に片付けておこうと思っていたタスクが片付かないまま、明日で1週間前になってしまうので、明日からは研究会向けの作業に移行予定。つまり、働きます(笑)。

7月11日(月):大気不安定

昨夜は夜更かしをしたのだが、朝早く目覚めてしまった。そして、大気が不安定であることは雲の様子や雨が降ったり日差しが強くなったり、という天候の変化でもわかったが、フィンランド東部では沿岸に竜巻が7つ同時に発生したとの写真報道も。

  • 派遣元大学からの依頼への対応。日本時間15時までとのことで、早くに目が覚めたことが結果的には良かった。追加で、オープンキャンパスまで4週間を切ったタイミングで研究室で対応すべき事項を確認。
  • 昨日から引き続き、編集委託中の動画につけるキャプションの作成。無事に全て了。まずは委託先の作業を気長に待つ。
  • 昨日から引き続き、研究室・ゼミ紹介の資料作成。今できるのはここまでか。
  • 先週に一旦戻した採択済論文の校正について、編集とのやりとり。本日のところは了。
  • 9月上旬締切の原稿執筆開始。上記の動画と内容が被っているので、編集に合わせて執筆した方が効率がよいとの判断。今日のところの進捗度は20%程度。
  • 学外(日本)からオンライン打ち合わせの依頼。日程調整を開始。
  • 予算執行作業。今年度に導入予定のパソコンの見積依頼をまずは開始。今から動けば、帰国する頃には届くだろうという算段だが、さて、どうなるか。

日本はまたコロナが増え始めた感あり。フィンランドもきっと増えているのだろうが、数字の発表が7月中はお休みなのでなんとも(苦笑)。

  • ロシアからフィンランドへの観光ビザ申請が増加しているとの報道。コロナ明けだからか、ウクライナ問題が影響しているのかは不明。現時点で、ビザ申請予約は8月までまたないと行けないらしい。
  • 食品業界の苦境を伝える報道。エネルギー価格、資材価格の高騰により、農業生産のコストが上昇し、食品業界の原料調達コストも大幅に上昇。このコスト圧は、販売価格には十分に反映されていない。一方で、消費者が買いだめに走るようなこともないようにとの業界団体の代表のコメント。

これで休暇取得まで20日20日間無休というわけにはいかないが、できるだけ仕事を進めます。

7月10日(日):週末の整理整頓

昨夜夜更かししたのに、なぜか朝早く目覚めてしまった。

  • 研究室チャンネルの動画配信作業。届いた初版の内容チェックと修正依頼→改めて届いた修正版のチェック→チャンネルへのアップ作業と研究室ブログ、Twitterの更新作業。無事に了。
  • 次の動画編集作業開始。予め用意していた動画ファイル群を外注先に送付。夕方までに第一段階のファイルが届いたので作業。今回は農場訪問の様子を編集。英語でのやりとりなので、日本語字幕を全てこちらで用意する必要がある。今日のところは半分ほど進める。明日には一旦仕上がりそう。
  • 研究室・ゼミ紹介資料の作成。研究室の説明は通常通りだが、ゼミ紹介はいつもと大きく変えてみた。「自分はこういう研究をしていて」「ゼミ活動はこのようなことをするので」「こういう学生に来てほしい」というワンパターンを廃すのが目的。一旦完成させる。しばらく寝かせれば、またアイデアが出てくるか。

本日のヘルシンキ

  • フィンランドNATO加盟の各国批准手続きは、8カ国まで進行。残り22カ国。米国では、民主・共和両党の議員がともに承認に向けて同意したとの報道。
  • 船の飲酒運転(操船?)の件数が減少しているとの報道。アルコール濃度の設定が厳格化されるなど、違法であるのとの認識が広まったことが要因とされている。かつては文化的に受け入れられていた、という記述もあるので、きっと昔はひどかったのだろう。ボート遊び自体は増えており、今年過去最高の人数を記録しているとのこと。
  • 今がいちごの最盛期。昨年は不作だったようだが今年は順調。冬が厳しく春の到来が遅かったので、収穫も遅れる見込みだったが、その後の温暖な天候により、収穫のピークは例年通りの7月前半。日本人の感覚だといちごの季節は春先に終わってしまうが、(品種や気候条件、栽培方法に違いはあるにせよ)場所が違えば夏の食べ物になる。

本日は、「残りの滞在期間中の使用頻度」と「日本に持って帰るか否か」の基準で荷物を再整理。食材も無条件にはストックを買わず、残り日数との兼ね合いで様子を見るものが増えてきた。もっとも、現在のところは感傷に浸るよりも、「立つ鳥跡を濁さず」撤退作戦を円滑に実行する意識の方が強い。

さて、新しい週も頑張ります。

7月9日(土):ウォーキング+ショッピング

フィンランドに来てから冬までの間、運動をしっかりしようとあえて2.2kmほど歩いていたショッピングセンターまで、久しぶりに歩いてみた。冬の悪路を回避するためにバスで行くようになり、そのままバスに乗るようになっていた(笑)。日中は16度〜20度。これが理想の北欧の夏。雨さえ降らなければ。

  • 動画収録と外部委託前の仕上げ作業。準備了。
  • 某学会の編集委員業務。3本あったうちの3本目。幸運にも作業としては3本目が一番楽だったので、無事に了。
  • 採択が決まっている論文の校正(1回目)。うーん、自分が誤字を残していたことも問題だが、この校正もまたひどい気がする。簡単に進まないかもしれないので、チェック結果を早々に戻す。
  • 派遣元大学関係。1)広報資料の確認作業。2)研究室・ゼミ紹介資料の更新。毎年更新していて、今年の使用は10月なのでまだ先なのだが、資料を更新するために必要な作業を確認する必要あり。

本日のヘルシンキ

  • 若者による薬物の過剰摂取について。死亡者が増えているとの報道。20年前はアルコールの過剰摂取が主だったのに対し、状況は明らかに変化しているが、罰則強化では解決にならないという。
  • 世論調査の結果。「外交・安全保障・防衛」や「コロナ」に関する政府の政策は総じて評価されている一方、「経済状況」「社会サービス」「医療運営」には満足しておらず、40%超が「悪い」「非常に悪い」と評価。わかりやすいといえばわかりやすい。

明日も引き続き作業を進めます。

7月8日(金):気持ちの沈む日

日本での訃報はフィンランドでも速報。大統領も首相もすぐにコメントを出していた。このような事件が発生することは大変残念だが、同時に思うところも。

  • ヘルシンキ大学の手続き。日本の銀行への問い合わせも終了し、書類を仕上げ・提出して一旦了。
  • 某学会の編集委員業務その2。無事に了。今回の業務はあと1本。その1本も夕方に届いたので明日作業予定。
  • 派遣元大学の広報関係作業。協力してもらった学生2名とやりとりし、結果を報告。一旦了。
  • 研究室動画チャンネルの動画編集作業。先月に訪問した農場の収録映像を10分以内に収める作業と、合間に自分で解説を加える動画の収録に向けたスキット作成。収録は明日に持ち越し。編集スキルが少し上がった。

本日のヘルシンキ

  • コロナの入院患者が増加傾向。うち60%はコロナのために入院し、残りは別の理由で入院したのちにコロナ感染が判明したもの。集中治療を受けている患者は増加しておらず、保健省トップはワクチンの有効性を示すものと判断。今後の追加接種などは8月上旬までの状況を踏まえて最終判断。とはいえ、自分は帰国するので、フィンランド政府の決定が関係しなくなりつつある。
  • 安倍元首相のニュースでは、2017年に北欧諸国の中では、首相として最初の訪問国としてフィンランドが選択されたことが伝えられた。
  • フィンランドNATO加盟申請に伴い、増加すると想定されていたサイバー攻撃が、これまでのところそれほど見られないとの報道。これが「嵐の前の静けさ」なのかはまだわからない。
  • フィンランドハンバーガーチェーンの「ヘスブルゲルHesburger」が、ウクライナでの営業を再開すると発表。侵攻発生時にウクライナ国内の7店舗を全てクローズしたが、うち4店舗を再開。残りの3店舗も今夏の後半には再開見込み。少しでも通常・平常に戻ることを祈る。

ショッキングな出来事が起きると、その出来事を自分の理解できるロジックで捉えようとするのは仕方がないが、その多くが認知バイアスに陥っていることは意識しないといけない。さもなければ、被害者にも責任の一端があったかのような議論になりかねない。「言論の自由」云々と叫んでいる人たちは、それが被害者の言説が暴力を招くような強いものであったとの前提に立っていることをきちんと意識できているか。日本のニュースを見る限り、意識できていないのではないかという不安が残る。

気を取り直して、週末も働きます。