業務日誌

東京農業大学(元三重大学)教員による業務日誌です。農業経営学の見地から,食料・農業・農村・環境の問題を考えています。

10月9日(金):振替休日3

今週3発目の振替休日。もはや何も言うまい(笑)。

・現在分担者として参画している科研(科学研究費)プロジェクトについて,来年度に再応募すべく提案が届く。現在のプロジェクトは今年度で終了する。来年度以降も発展的に継続しようという趣旨なので,取り急ぎ賛成の意思表明と自分が分担する見込みの小テーマについてのネタの提供,その他応募に必要なデータの送付など。

・詳細は書けない学内業務。無事にできたか。とこれしか書けないが,相当の時間と手間をかけている。

・卒論個別指導。今年の指導学生は3名。もっとペースを上げていかないと。終了後は,学生からPC不調との相談を受けるが,そんな簡単に直るものではない。

・来週の高校訪問に向け事務方と打ち合わせ。広報委員として入試・進学説明に赴くことになっている。

・採択が決まった3つの論文の掲載料支払いのための書類が学会から届いたのだが,見ると宛名が間違っている。自分の依頼ミスかと思い,送付したメールを見直したがそんなことはなかった。急ぎ学会に書類の再送付願い...手間隙かかる。

・仕事の依頼3件。1件目は,関東方面で講演依頼。2件目は関西方面で講演依頼。3件目は学会で取り組む研究レビューの執筆依頼。いずれも基本的に受諾。講演2件は日程調整が必要だが。

講演を受ける度に少し悩むのは,講演ばかりしていていいのか,ということ。地元でない限りは一日仕事になるし,小遣い稼ぎをするより論文執筆など学会活動をしっかりしないといけないとも思う。ここで改めて考えるのが,何に対して『開かれた』研究であるべきかということ。

自分がやっている農業経営学・農業経済学と呼ばれる分野では,2種類の『開じている』研究をしている人がいる。1つ目は,農業の現場に対して『閉じている』研究。一見時流に乗った研究に見えるが,それはたまたまその時期に議論になっているネタだから取り組んでいるだけで,時期が過ぎれば違うテーマに流れていく。現状分析的ではあっても,誰のための研究なのか不明。あえていえば研究者のための研究。

もう1つは,学会に対して『閉じている』研究。確かに現場を精力的に歩いているので,現場の動向には詳しいが,それを何らかの知見として学会に還元することがない。また,現場との情報格差を埋めることが目的になってしまっているので,本人の興味は尽きることがない(研究者である限り,当事者との情報格差が埋まることは原則としてない)が,現場にお返しするものもない。

そもそも経営学は,アカデミックな要素と実務の要素とのバランスを取るのが極めて難しい学問分野。アカデミックに過ぎれば「経営に役立たない経営学」になるし,実務に偏りすぎればそれはただの「実務」。このバランスを取るのは簡単なことではないが,自分としては,学会での研究活動と現場での活動を両立させることが,このバランスを取ることだと考えている。

講演の話に戻ると,講演が農業経営者や農業経営者と直接かかわる関係者(普及指導員など)の方を対象とするものである場合は,自分の研究が現場に役立つのかを知るいい機会でもあるし,その後の研究につながるケースも多い。今設営している調査の1つも,9月に行った講演で知り合った農業者の方を再訪するものだったりする。自分の研究をPRするのも大事。

とはいっても,本分を忘れるような講演活動は現に慎まねばならない。

これで現有の振替休日は全て消化。今後も振替休日がいくつか入ってくるが,いずれも兼業従事に当て込む(兼業に終日従事する場合は,休暇をとらなければならない)予定。