業務日誌

東京農業大学(元三重大学)教員による業務日誌です。農業経営学の見地から,食料・農業・農村・環境の問題を考えています。

9月9日(水):調査31

カナダ調査2日目。

・午前は,大学の経営学系の教授,研究テーマに関連した2つのNPOへのインタビューなど。

・午後は,農場3軒を訪問。うち2軒はメノナイト(ちなみに案内してくれた州職員もメノナイト)だったので,写真やビデオは撮らず,観察させていただく。昼食もメノナイトの一般家庭でいただいた。昔ながらの習慣を頑なに守る人というイメージが強いが,取り入れるべき技術は取り入れている。

カナダは日本の27倍の国土(人口は日本の3分の1以下)を持つなど広大なイメージがあるが,その多くは森林であったり居住・農耕に適さない場所であるため,特にアメリカ国境付近での土地利用の競合(農業用途と開発用途)は激しい。自動車向けに開発が進む中,馬車移動の伝統を守るための創意工夫など,彼らの伝統と利便性を追求する現代社会との融合のあり方について考えさせられた。

これでカナダでの調査日程も終了。カナダでの2日間はえらい濃密な時間だった。忙しい中設営してくれたカウンターパートに感謝。研究面でお返しもしなければ。

1つ驚いた(あせった)ことが。インタビュー先の1人が自分が書いた英語論文のコピーを机の上においていて,「あなたはオンタリオの農業についてこのように書いているが…」という話をされたこと。自分の論文をカナダで目にすると予期していなかったので若干恥ずかしかったのと,先方に自分のことを理解してもらうために,やはり書かないとと思ったのが半分ずつ。

あとは帰路を残すのみ。無事に帰国することが最優先だが,帰国後の学会発表準備が滞っていることも気になり始めている(苦笑)。