業務日誌

東京農業大学(元三重大学)教員による業務日誌です。農業経営学の見地から,食料・農業・農村・環境の問題を考えています。

8月5日(金):ワーケーション疲れ

ワーケーションとはリフレッシュすべき活動だが、なぜか疲れている(笑)。あまり生産性は上がらず。

  • 派遣元大学関連。1)後学期の外部講師の日程調整。無事に了。2)明日に迫ったオープンキャンパス準備のサポート。写真1枚を送るだけなのでサポートというほどもない。3)帰国予定に関する報告と問い合わせ。1ヶ月後にはまさに「普通に日本にいる」わけか。
  • 学外(日本)の先生とオンライン会議。情報交換など。
  • 民間助成の報告書作成。1)予算報告書の仕上げと証拠書類の整理、2)研究報告書(別紙5枚)の仕上げ。共に一旦了。締切は年明けだが、帰国後に公刊されるべきものが公刊されたら報告書も提出する算段。
  • すでに採択が決まっている論文の2校目。正確には、1校目の指示が直っていなかったので、2校目のやり直し。期限はお盆明けだが、提出はもう少し前に。

本日のヘルシンキ

  • 今年のベリー類収穫の話。70%がウクライナからやってくる外国人季節労働者の不足と雨の影響で、収穫されずに終わるベリー類が大量に出そうだとの報道。ある農場では収穫量が想定より4分の1少ないとのこと。全国でも「数百万キロ」との見立て(Millions of Kilos)。スーパーで見ていても、朽ちかけたベリー類が多い(特に痛みが早いいちごなど)印象がある。フィンランドではこれが普通なのか(加工して食べる分には問題がないと判断されるのか)、あるいは自分が行くスーパーが安物しか扱っていないのか、あるいは収穫遅れの影響か。1年しかいないと比較考量ができない。
  • 自治体公務員の給与支払問題。今春に導入されたシステムに不具合があり(不具合かどうかにもまた議論あり)、適切に給与が支払われていないという問題がヘルシンキで発覚したのだが、他の自治体でも同様の問題が起きるのでは?という内容。国が小さいこともあり、システムを全国的に共同で使うのは効率的(大学の履修管理システムも昨年共通化)だが、IT王国だから全てがうまく動いているわけではない。

ということで、あまり生産性の上がらない金曜日となったが(帰国前の断捨離第2弾をしたので、部屋の片付けという意味では生産性が高かったが)、土日月火の残り4日間は勤務予定。

8月4日(木):ワーケーション4日目(終了)

ワーケーション本日にて終了。ワーケーションではない休暇を来週に1週間いただき、その後は帰国準備に勤しむことになる。

  • 朝、オンライン講演会(日本)を視聴。とある農業経営者さんの講演だったのだが、今から10年以上前、指導学生がハウスでお手伝いしていた頃からここまで発展したことに、感謝と尊敬あるのみ。
  • 派遣元大学とのやりとり。オープンキャンパスまで2日。また、代講していただいている科目の期末試験(再追試)について。コロナによる特別対応は2年前からあるのだが、今年は期末試験にかかるタイミングで第7波となったため、対象者は多く、対応も大変。
  • 研究室動画チャンネルの配信予定の更新。今朝の講演を聞いて思いついたネタあり。こういうところから見ても、人のアウトプットを読んだり見たり聞いたりすることは大事だと改めて実感。

本日のヘルシンキ

  • 久しぶりのコロナ感染者数の公表。ヘルシンキの1週間平均は200人/日。5週間前から−30人。5週間前と比較することにあまり意味はないが、少なくとも「表向き」は感染拡大は確認されていない。
  • ロシアへの渡航者から、税関が持ち出しが禁止されている物品を押収しているというニュース。経済制裁によりロシアへの持ち出しが禁止されている物品は多く、渡航者増に伴い、税関も監視体制を強化。持ち出した者の国籍や具体的な物品は明らかにされず。ドローン系やソナー系など、軍事転用可能なもの、という言い方しかされていない。難しいご時世だ。
  • アメリカ議会上院もフィンランドNATO加盟を承認。色々言われていたが、結局は圧倒的多数が支持。これで批准国は23カ国。残り7カ国。
  • 上記2つに関連し、ロシア人への観光ビザ発給を制限すべきかどうかという議論。まだ続いている。

フライト遅延などがあり、予定よりも大幅に遅れて自宅に戻ったので、明日はのんびり…と行きたいところだが、明日から5日間が業務強化期間。派遣元大学もまもなく夏季休業に入るので、それまでやっておくべきことを進めておく必要あり。

8月2-3日(火・水):ワーケーション(2-3日目)

流石に毎日の更新もなんなので2日分まとめて。

  • 派遣元大学とのやりとり。予算やら日程調整やら。帰国後の手続きも入ってきた。
  • 某学会の編集委員業務。資料が確定するまで少し時間がかかったが、揃うべきものは揃い、方向性も見えた。あとは書く作業。
  • 派遣元大学に提出する月例報告書(8月分)の執筆開始。問い合わせの結果、8月分も提出することが判明したため。8割方完成(笑)。
  • 帰国後に提出する総括報告書の執筆開始。大学のHPで公開されている報告書に沿って先日仕上げたのだが、あれは公表用の要約版で、本編はもっとたくさん書くとの指導を受ける(笑)。といっても、すでに公刊に向け執筆した原稿がA4版換算で15枚分はあるので、それほど重いタスクを課されたわけでもない。通常は10〜20枚とのことから「20枚」と設定して編集開始。4割ほど進める。
  • 研究室動画チャンネルの配信。これで「オープンキャンパスまでに20本」の数的ノルマは達成。数をこなせばいいというものではないが、チャンネルと呼ぶにはそれなりの本数がないといけない。視聴数は大したことないが(笑)、「ここに情報がある(誰でもタダで見られる媒体がある)」と言えるのはこれから生きてくると読んでいる。さて。
  • 留学希望者案件。1件は先日から対応中のもの。やりとりを続けた結果、徐々に理解してきたか。だといいのだが。もう1件は新たな問い合わせだが、これは門前払いの見込み。
  • 分担者として参加中の研究プロジェクト。プロジェクトの締めくくりとして書籍の出版計画あり。自分はすでに論文を公刊しているので、これをベースにすればよいという立場。今回、書籍用原稿提出の要項が示されたのだが、かなり分量を減らさないといけない模様。さて。

ヘルシンキ情報。

  • 鉄道の広軌標準軌問題。EUで国際標準軌に統一する(今後の新規建設は標準軌に限定、すでに敷設済みのものも標準軌に改良)という基準案に対してフィンランドの担当大臣が合理的でも現実的でもないと反発。フィンランドはその歴史的経緯から、ロシアと同じ広軌を採用。反発しないわけがないか。
  • 日本でも時折話題となる国際的な学習到達度調査(PISA)について、フィンランドの「読解力」の成績は、優秀な生徒の割合は変わっていない(全体の14%程度)が、非常に悪いと判定される生徒の割合が上がっている(2009年の8%台から2018年の13%台へ)。つまり、学力(読解力)の格差が広がっているという指摘。2018年データの話をしているので、この指摘が今行われたのか、前から指摘されていることをたまたま報道で今取り上げただけなのかは不明。が、日本でも同じようなことが言われており、「フィンランドの教育に学べ」という単純な話ではないことに気をつけなければならないということだろう。
  • フィンランドもだいぶ気温が落ち着いてきた(落ちてきたともいう:笑)が、これから週末に向けて25度超えがあるかもしれない(同時に嵐となるかもしれない)との予報。これが「灯滅せんとして光を増す」、つまり夏の終わりの最後という感もある。

この2日間で妙に業務が多いのには理由がある。それは飛行機による移動(ワーケーション3日目)が、機体トラブルでフライトが4時間近く遅れたこと。しかも、トラブルは一旦搭乗後に発覚し、時間がかかるからと搭乗ゲートに戻され、再出発予定時刻がなかなか決まらない。トラブルがいつ直るかわからないので「30分後に出発時刻を知らせる」を何度も繰り返し。よって、待ち時間を読むこともできず、結果的に待たされた3時間は搭乗ゲート近くで待機しつつ、いつ切られてもいい仕事に取り組むしかないという状況。最後も「30分後にお知らせする」というアナウンスがあった5分後に「搭乗開始」が突然始まり、不意をつかれた乗客がなかなか乗らないという不思議な状況にもなった(笑)。

とはいえ、ワーケーションも明日まで。次の更新はヘルシンキの自宅からの見込み。

8月1日(月):ワーケーション1日目

結局、ワーケーション初日から更新(苦笑)。

  • 9月の学会関係。8月1日がタイムリミットだったのか、学会を福島開催からオンライン開催に切り替えるとのアナウンスが届く。これに対応して、外部招聘者への連絡、出張手続きの取り消し、謝金手続き書類の修正、オンラインの開催方式について関係者と不明点の洗い出しなどバタバタ。
    • 学会中に出席する予定だった会議もオンラインへ。その会議資料を拝見し、ギョッとなるが、皆までは言えず(笑)。
  • 院生筆頭著者論文の修正。訳あって、事務局に再提出期限の延長を依頼。無事に認められる。これで採択・公刊されるとしても時期が遅れてしまうが、優先順位は他にあったということ。
  • 大学関係の資料の読み込み。書くと一言だが、量は膨大。
  • 学生実習に関するやりとり。
  • 留学希望者とのやりとり。昨日送った質問への回答が来たのだが、余計にわからなくなった(笑)。もちろん、先方が正しいのかもしれない。が、指導する側の自分が理解できないとなれば、指導教授として適任ではないということ。急ぎ、改めて質問を送付。

本日のヘルシンキ

  • いわゆる産休・育休に関する法律の話。新しい家族休暇法が施行。変更点(というかそもそもの制度)を理解していないが、新制度では各親に160日の取得が認められていること、63日までは他者(配偶者でもそれ以外でも良し)に割当を移転できること、ひとり親は二人分を取得できることなど。制度の詳細はともかく、フィンランドでも男性の育休取得率は10%しかない、という数字の方が衝撃。成り行きでうまくいかないなら制度で後押しするしかない。

さて、明日は更新しなくてよいくらいの業務内容に収まるか。

7月31日(日):7月最終(リアルに最終)

本日でリアルに7月終了。ちなみに昼の時間は16時間57分。17時間を切ってきた。さらにいうと、18時間から17時間まで14日かかったが、17時間から16時間までは12日。このように日がどんどん短くなる感覚と、フィンランドでは8月が秋だという感覚は連動しているに違いない。

また、本日にて夏休みが終了し、明日から学校が再開されるためか、近所の川では子供たち(高校生くらい?)がゴムボートで遊ぶ姿多数。夏休みの最後を惜しんでいるのだろう。

  • 9月の学会分科会関連。1)外部招聘者1名の謝金支払い書類の仕上げ。一旦了。2)8月中旬に事務局提出予定の概要報告原稿の手直しと仕上げ。関係者に送付。特に修正がなければこのまま提出となる見込み。
  • 国費留学希望者案件。応募書類を見て、本人に昨日質問を送ったところだが、これまでの所見をまとめたメモを作成。受け入れ可否を判断する際は、こういった資料を残しておくことにしたたため。続く。
  • 派遣元大学に月例報告書(7月分)提出作業。月例報告書の提出もこれで最後…8月分を帰国後に提出、というのはまさかないだろうと思いつつ、提出に合わせて今後の報告書提出についても確認依頼。念のため。
  • 民間助成の報告書執筆。5ページのうち、4ページと5/6まで書き進めた(笑)。残りの300字ほどで何を追加するか。いずれにしても、締切まで時間があるので、原稿は少し寝かせたほうがよさそう。
  • 院生が筆頭著者の投稿中論文の直し。先日戻ってきた査読結果に対し、本人から修正稿が戻ってきたので内容確認。さて、本格的には休暇中に取り組むことになるか。

本日のヘルシンキ

  • ガソリンに関する調査結果。主要銀行がカード支払の情報を分析したところ、昨年と比較してフィンランドの人々はガソリンの購入量を10%減らしているが、支出額は40%増。理由はもちろんガソリン価格の高騰。今後の価格の見通しを予測することも難しい。帰国する立場だが、秋冬のフィンランドが心配。
  • 冬の電力不足の話で言えば、本日のニュースの1つが、計画停電が実施された場合、地域の店舗が順番に閉店することがあり得るという話。そこまで協働ができるという話なのか、あるいは電力会社が停電先を「割り振る」ので否応なしの話か。情報源が電力業界であるところを見ると後者か。東日本震災の経験からすれば、地域ごとに「丸ごと停電」するよりは幾分マシか。
  • サル痘に関するニュース。フィンランドでも17件の症例が報告されており、近く1,000回分のワクチンが到着する予定。接種対象はウィルスにさらされた人。感染力や重篤な症状を引き起こす可能性などを考えると、過剰に心配する必要はないという論調。

ということで、論文修正を抱えつつ、休暇(ワーケーション)に入ります。もっとも、明日のフライトがオーバーブッキングしているというメッセージが頻繁に入るので、本当に飛び立てるかどうか(自分は乗り継ぎがあるので便の融通は効かないので、ボランティア要請には応じられず)。これで出発できなかったら、働き続けろということか(笑)。

業務への本格復帰は8月5日。それまで本日誌は不定期更新の見込み。

7月30日(土):17時間

本日のヘルシンキの昼の時間は17時間3分。明日には17時間を切る。18時間を切ってから17時間を切るまで2週間。昼の時間の減り方がさらに加速していくわけか。

  • 9月の学会の外部招聘者の手続き。書類の作成は順調に進むが、さて。
  • 研究室動画チャンネル関係。1)動画その1は、夕方までに無事に公開。ブログとTwitterも更新。2)動画その2は、委託先とやりとり1回を経て、一旦完成版ができたので、アップロード。限定公開しつつ作成元の先生に確認していただき、問題なければ来週半ばに公開。
  • 予算執行作業。今月分は一旦了。
  • 留学の月例報告書(7月分)の仕上げ。あとは8月に入ったら提出。
  • 派遣元から届いていた資料の確認。次期カリキュラム関係。
  • 国費留学希望者の応募書類を読み、質問を本人に送付。壮大なテーマは得てして具体性に欠ける。具体性とは現実性。「木を見て森を見ず」も真だが、「木を見ず森を語る」のも問題。内諾に至るまでは具体性に掛かっている。結果として他に流れる分は致し方なし。

本日のヘルシンキ

  • 昨日に引き続きエネルギー不足問題。天然ガスの使用割合が多かった化学部門と林業部門がガス価格高騰の影響を受け、操業停止に追い込まれる可能性に言及。エネルギー源の代替が容易でないケースは出てくるだろうし、総量が足りない場合は医療などのソーシャルケア部門が優先されるのは致し方なし。

さて、明日は休暇前の最後の仕事日。進めれるところまで進めます。

7月29日(金):7月の平日業務終了

まだ2日あるが、7月の平日業務は今日まで。フィンランド滞在も残り1ヶ月か。

  • 昨日から引き続き、外部招聘者への経費執行手続き。今日までに一定の回答が出たので、これから本格的に準備に入る。
  • 9月に公刊予定の論文の再校。再校のはずだが、初校時に依頼した修正指示が1箇所しか反映されていないことに気づく。その1箇所が大きな話だったことは確かだが、そこしか直さなくてよいなんて指示は出していない(念の為、初校時のメール確認)。全く。急ぎ返送。
  • 研究室動画関係。昨日まで書いていた「動画2」が、完成したと思いきやミスを見つけてしまい、急ぎ提供元の先生とのやりとり。夜までになんとか修正を終え、今度こそ編集を外部委託できる状態になった。はず(苦笑)。
  • 文科省奨学金(大使館枠)選考中の留学希望者から受け入れ依頼の連絡。1次選考を通過したとのことで、研究計画書などを読んで受入内諾を出すか否かをこれから判断することになる。続く。
  • 帰国前後の予算執行について計画策定。早すぎても手数をかけるし、遅すぎると帰国後の”初動”が遅れる。どのタイミングで発注するかも要検討。

本日のヘルシンキ

  • フィンランドのデジタル化ランキングは、EU内1位との調査結果。5G網が充実していることが評価されている。自分も5G利用者(4Gでも不都合はないのだが、数ヶ月前に切り替え。残り日数と価格差を考えたときに、それほどケチることもないと判断)。サイバーセキュリティもしっかりしていると評価されたらしいが、先日の日本のようなトラブルは本当に起きないのか。フィンランドはちゃんとしてそうだが、昨年末に「水道の供給保障は、最も重要」なる政策文書を読んでいる最中に、地域の水道管が破裂して水道が半日止まったことがあったので(笑)、どうなんだろう。
  • 住宅価格の話。上昇が鈍化。首都圏・大都市を除いた最近1年間の上昇率は2.3%、都市部は1.4%。ヘルシンキは1%未満。最も上昇しているのはタンペレ地域。
  • ガソリン価格の上昇が運転習慣に与えた影響に関する世論調査。回答者(運転する人)の燃料コストは月平均330ユーロ。価格上昇に対応し、運転する機会を不可欠なものに限定したと回答した割合が44%。さもありなん。
  • フィンランドNATO加盟の批准状況。モンテネグロが批准し、これで批准国は20カ国。残り10カ国。全会一致原則なので、承認がいつになるかは最後の批准国次第。報道で懸念されているのは、米国・イタリア・トルコ。それぞれの事情を見ると下世話な感もあるが、理由はともかく、今後どうなるか。
  • 9月から実施予定の省エネキャンペーンの話。このようなキャンペーンをフィンランドで行うのは1970年代のオイルショック以来らしい。暖房の設定温度を1度下げると5%の節約、その他にもシャワーの時間を短くするなど、各家庭の節約でエネルギー消費を10〜20%節減することが可能など。特に秋から冬にかけてはエネルギー不足に陥る懸念があり、成否は年内に商業運転を開始するオルキルオト原発3号機にかかっている。最悪、「2時間の停電」などを実施する可能性も想定されているとのこと。自分は帰国してしまうが、引き続きこの国がどう乗り切っていくかを見守りたい。

ということで、週末が終わると自己取得休暇開始。結局、休暇中も働くことにはなるのだが(苦笑)。ともあれ、あと2日頑張ります。